北浦和の夜(第二夜)
2008/05/20 archives:ライブネタ
ワタクシ、高校時代に 8mm 映画の制作をやっていた時期があります。
中学時代の友達つながりで、某高校文化祭に向けての企画による 約 1 時間の長編モノの制作に参加していました。 拙者の担当部署は、撮影、編集、録音、音楽といった裏方。 特に音楽はすべてオリジナルにこだわって、自宅にバンド友達を呼び、当時持っていたショボイ機材を駆使して自宅録音にて制作。 ドラムなんざ、近所迷惑顧みず生音で演奏、録音してました。 まあ、当時からアーティスト系エンジニアだったワケです。
その頃、台本の打ち合わせや、ロケ後の反省会で、みんなでよく行った喫茶店がありました。 店の名前は「ペントハウス」。 北浦和東口にある2階建ての小さな喫茶店です。
1階はロッキングチェアーのカウンター、2階はテーブル席。 クセの強い黒鉄ヒロシみたいな感じのマスターがいて「ここは、少年達の遊び場じゃないからな」なんて文句を言われながら、“レモン果汁”(炭酸抜きのレモンスカッシュの様な飲み物)一杯で何時間も粘ったり、勝手に2階のテーブル席を占拠して(しかも勝手に電気まで消して)制作した 8mm 映画の試写会をしちゃったり。 当時の楽しい溜まり場でした。
でも、何年かして店の形態が喫茶店からパブに変わってからは、なんとなく行かなくなってしまいました。 その後、JAZZ ライブなんかをやっているというウワサを耳にしたことはありましたが、15 年近く前に思い出したように飲み行ったのが最後、すっかりご無沙汰していました。
そんなワケで、会社の昼休みにウェブ検索をしてみると案外簡単にヒット。 しかも、今日(5月20日)にライブがあるみたい。 こりゃ行ってみるしかないか、ってんで 15 年ぶりに遊びに行ってきました。
「ご無沙汰してます」
「おー! 久しぶりだな!」 ってな感じで、マスターはしっかり覚えていてくれました。 まぁ、高校時代あれだけ悪さすりゃ忘れられないか。
「おー! 久しぶりだな!」 ってな感じで、マスターはしっかり覚えていてくれました。 まぁ、高校時代あれだけ悪さすりゃ忘れられないか。
マスターが書いた(んだったと思う)デューク・エリントン。 高校の頃、ペントハウスが喫茶店の時代の時にあった絵がまだ飾ってありました。懐かしい。
昔ロッキングチェアのカウンターだった場所は、現在は焼き鳥屋(?)に。 カウンターは 2 階に移動していました。
トイレの手洗い場。 どうも毎週火曜日にライブをやっているらしいです。
マスターはクセは相変わらず健在。 JAZZ とは言っても、いわゆるモダンジャズはすべてNG。 アレは、高級オーディオメーカーが製品を売るために出来た音楽ってことらしい。 だから、店で流す音楽やライブ内容は、かなり古い時代のジャズ(デキシーランドジャズ)、あるいはそれ以前の音楽(ラグ、ジャグ等)=トラディショナル・ジャズだけなんだそうです。 ま、一理あると言えばそうかな? (ボクはモダンジャズも好きだけど…)
しかも、店で流れている BGM はこの店で演奏されたものを録音したライブ音源。 すげーコダワリだね、こりゃ。
まぁ、それも含めてとてもオモシロいマスターなんですけど。 言ってるコトも筋は通っているし。
さて、その日のライブはラグタイムピアノのアレェクスェイ・ルミィヤンツェフさん。 20時をちょっと過ぎたところでライブスタートです。
左の御婦人は奥様でヴォーカルの裕美さん。 ピアノも生音、ヴォーカルもマイク無しの生声(?)です。 すばらしい。 ラグタイムピアノとヴォーカルというスタイルは初めてだったのですが、ライブ後にハナシを聞いてみると、もともと当時の売春宿ではこのようなスタイルのボーカル付きのラグタイムを聞きながら順番待ちをしたんだそうです。 ま、今ではユーロビートが主流ですが (いえ、聞いたハナシですケドね)。 日本ではほとんどやっている人はいないんだそうです。
ライブデイはパーティー形式。 ¥3,500 払ったら勝手に出てくる料理をつまみながら、ドリンク類は飲み放題(ビールは無い)。 ま、料理と言っても焼き鳥、やきとんがメイン・ディッシュ。 ドリンクとは言っても主流は焼酎。 拙者は迷わずホッピーにしましたよ。 焼き鳥をつまみながらホッピーを飲み、ラグタイムピアノを楽しむ。 いや、ある意味これは真髄なのかも知れない。
アレェクスェイ・ルミィヤンツェフさんはレパートリーも豊富で、お客さんのリクエストに応じて演奏してくれたり、飛び入りの女の子が演奏したラグタイム・ピアノの指導をしてくれたりと、やさしい感じの紳士です。 ロシアの方だそうで、もともとはクラシックをやられていたそうです。 今は、ティンパンアレイにある大量のラグタイムのアーカイブ(譜面)の研究と演奏活動を行っているそうです。 著作権がとっくの昔に切れているので JASRAC 的にも吉!ということで。
奥様のボーカルもステキです。 MC ではラグライムに関するいろいろなウンチクを判りやすく説明してくれてスゴクためになります。 ラグタイムピアノは、どちらかといえばクラシックに根ざした演奏技法が主体であるため、JAZZ 系のピアニストもあまり演奏しない(できない)。 だから案外、本格的なラグタイムピアノを生で聴ける店は少ないんだそうです。 特にボーカル入りとなると本当に少ないらしいです。 ホントかウソか、わざわざ都内から聴きにくるお客さんも多いとか(マスター談)。
そんな感じで2部構成のライブは終了。 お客さんも比較的年齢の高い方が主体だったので、熱いライブ!って感じじゃなくて、小粋なラグライムピアノを堪能しつつ、酒とつまみを楽しむみたいな感じでした。 ラグタイムにホッピー、悪くないっす。
ライブ終了後、マスターに先日の 「カンザスシティバンド」 のハナシをしたら、むかし、トランペットの下田さんはここで毎月ライブをやっていたんだそうです。 ピアノの小林さんは、ほぼ毎月ライブをやっているんだとか。
そうなんだ! んじゃ、小林さんのライブデイにまた遊びにきてみようかな? なんて言ったら 「今度来るときは、スネアとブラシをもってこい! セッションやらせるから!」 だって(おいおい)。 でもまぁ、ちゃんとコレ系の音楽を演奏できるように V-Drums で稽古しておこっと。
そうなんだ! んじゃ、小林さんのライブデイにまた遊びにきてみようかな? なんて言ったら 「今度来るときは、スネアとブラシをもってこい! セッションやらせるから!」 だって(おいおい)。 でもまぁ、ちゃんとコレ系の音楽を演奏できるように V-Drums で稽古しておこっと。
そんなワケで、23 時過ぎくらいまで昔話や音楽の話で盛り上がったところで退散しました。 なかなか、いい夜でした。
北浦和。 やっぱり、ちょっと侮れない。
- アレェクスェイ・ルミィヤンツェフ (pf.)
- 裕美・ルミィヤンツェヴァ (vo.)